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目が覚めたら。
第5章 変態王子が暴走しました。
「ほう、君の可愛すぎる彼女が負傷ね? どんな?」
証拠を見せろと言っているのだろう。
先生も、"可愛すぎる彼女"を繰り返さなくてもいいから。
勝手にスペックを高められたあたしは、ますます堂々と顔を上げてお天道様の元を歩けなくなってしまったじゃないか。
そしてナツはあたしの手を取ると持ち上げ、先生に見せたのだ。
それはあたしが声を漏らすまいと噛んでいた部分で、そこには横目で盗み見したあたしも吃驚してしまうほど、くっきりついた歯形痕がついていて、そこからじくじくと血が流れていた。
ここまでになるほど、あたしは快感に耐えていたのか。
……というかナツ、あたしの手首の拘束、こんな僅かな間に解いたの?
え、そんなに簡単にできるものなの?
「可愛い僕の彼女と動物園デートをした際、彼女の可愛さに発情したサルが彼女の手に噛みついたんです。手当はとていたんですが、こうして貧血を起こすほどにじくじくと血が止まらず……」
しくしく。
あたしを発情したサル扱いしたナツは、悲しそうに鼻をすする。
「僕、医務室に連れようとしたのですが、彼女はどうしても敬愛する篠田教授の授業を聞きたいというので、ならば僕はせめて血止めをしてあげようと、こうして……」
そしてナツはあたしの手を口に含め――。
ちぅぅぅぅぅぅぅ。
じゅるるるるるる。
場所は違えど、酷似した音を放った。
「教授。教授の専門分野でもありますミクロ経済学の独自理論を、僕達は大変興味深く拝聴し、教授の書かれた本はすべて買って読んでいます。保存用、観賞用、知人に推薦用の三冊ずつ。深い洞察力と、冷静な分析力は、篠田教授にしか出来ないものだと思って週一回のこの授業を本当に楽しみに、こうして受講していたわけですが、この音がお気に障ってしまったようでしたら、僕達退室させて頂きたく……」
ナツは立ち上がり、あたしの手をくいと上に引く。
いや――っ!!
こんな姿見せるのいや――っ!!