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目が覚めたら。
第6章 変態王子が暴走しました。2
 


「繋がらせて……? 溶け合お?」


 ナツにとって挿入行為は、オスとしての本能的行為というよりは、深い愛の確かめ合いなのだろう。


――ナツが育てば……愛を貰え。


 愛を与えないハル兄とは違う。


 きっとそう抱き合えるのは、女にとっては幸せなこと。

 だけどナツがあたしを求めれば求めるほど、あたしの奥底で騒ぐ声がするんだ。ナツの健気な姿を、餌とする声が。
 

 "この子が欲しい欲しい欲しい"


 だからあたしは必死に抵抗しないといけない。


 だめだめだめ。

 この子を毒牙にかけてはだめ!


 ナツは……あたしのナカでもたないこと、あたしはわかっているから。

 ナツはまだ育っていないから。


 このままだと消えてしまう。

 ナツを消してしまうのは絶対いやだ。


「それは駄目」


 体の欲を押さえつけても、ナツを守らねばならない。 


「僕はしーちゃんが欲しいんだよっ! 欲しくてたまらないんだ!」


 止まらない、ナツの激情。

 熱くなるあたしの体。熱く膨張するナツのモノ。


 膣壁を擦るのは、より深く強く子宮の奥を突こうとするのは、無機質で柔らかなオモチャ。


「しーちゃん、挿れさせて」


 あたしが本当に欲しいのはオモチャじゃない――。


「駄目。ナツ……挿れちゃだめ」


 消したくはない。

 この子には笑って生きていて欲しいから。


「口でしてあげるから、だから我慢して」


 くしゃっとナツの顔が泣きそうに歪む。


「僕……オトコなんだよ、しーちゃん。ねぇ……わかってる?」

「わかってるよ、ナツ……だから……」


 こんなに大きいナツのモノ。

 触っているだけで、奥に欲しいともうひとりの好色な"あたし"が騒いでいる。ナツはオトコだ。あたしを魅了する立派なオトコだ。

 わかっていればこそ――。


「下は……駄目。あたしはナツを消したくないの」




「……波瑠兄はいいのに?」



 ナツの声が震えた。
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