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目が覚めたら。
第2章 とんでもないことになってました。
「信じられないよ、そんなこと。あたし人間だもの。セックスの出来によって、オトコを消してしまうなんて……」

 もしそれが本当だというのなら。


「一生独身でいる。別に気持ちいいとか感じたことないし。もういいや、恋愛なんて。元彼を供養して死ぬ」


「――お前さ、なんでこの俺が東大の医学部まで行ったと思う?」

「ナース患者、あと女医さんと遊びたいため?」


 脳天にチョップが飛んで来た。


「それは動機の3割でしかねぇ!! 他に解決策がないものかと研究するためだ」


 やましくない動機は7割しかないらしいが、それでもハル兄なりに心配してくれたようだ。


「で、あったの?」

「お前……感動もなければ、そこんところの苦労を聞きたがりもしねぇんだな。別にいいけどよ……」


 ハル兄がぶちぶち言いながら、不機嫌そうにタバコに火を付けた。

 ああくそっ。

 この、眉間に皺を寄せて火を付ける仕草がたまらない。


「僕もタバコ吸お……」

 ぼそっと、いじけたようなナツの声が響いた。


「ナツはこんな不良になってはいけません!! 夢の王子様はトイレもいかないのが世の常です!!」

「ええええ!? しーちゃんそれ、どんなプレイ!?」




「――で、眠っているお前の体を検査した結果、お前の体が一度のセックスで必要とする男性ホルモン……もといそれを作ることになる精液は、普通の男の平均射精の10倍だ。問題なのは回数や量じゃねぇ。濃度だ」

「そうそう、濃~いもの」


 うるさいと、抓られたばかりのナツの赤いほっぺが痛々しい。



 なんだか嫌な予感がする。


「絶倫オトコでも10回射精すれば、濃度は下がる。高濃度を10回分必要となれば、10人のオトコに連続して協力を願えば可能だ。だが、それでも5日ぐらいの補給にならない」

「5日……?」

 5日ごとに、10人!?


「そうだ。それ以降はSホルモンがお前の中で反逆を企て、最悪お前の体は死に至る。生き続けたくば、5日ごとに10人分の高濃度の精液を補給すること。まあ、童貞がまざれば、5日の間隔も多少は伸びるだろうが」
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