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目が覚めたら。
第1章 貴方は誰ですか。
今は小学生でも初体験をすませるという性事情。
あたしは昨今の世情から見れば至って普通で、中学2年生だった。
バージンは20歳まで守れと狂ったように言ってくる、古風すぎるうるさい親を騙して、女友達との旅行と称し、彼氏と初めてのお泊まり。
快感なんてどこへやら。ひたすら激痛に耐えた夜――。
そして目覚めた布団の隣に、彼はいなかった。
携帯も繋がらない、いくら待てども帰ってこない。
パニックになって、当時医大生だった……隣の家の波瑠(はる)兄に電話した。
ワイルド系のイケメンの東大生。女にはお買い得だけど、最悪の無節操ぶり。あたしがランドセルを背負った時代から、幾度女連れのハル兄が、違う女から平手を食らっている場面を見ただろうか。あたしはハル兄のおかげで、男を吟味するくせがついた。
そんなガキンちょのあたしに、反面教師たるハル兄は意外に面倒見がよく、なにより性関係ではゆるゆるの考えだったら、親に黙って初体験をすませている以上、助けてくれるのはハル兄しかいないと思った。
そして、わざわざ旅館まで駆けつけてくれたハル兄は言った。
「あぁ、そこで会った。お前と別れたいんだとよ。宿泊費用が別れ賃だと」
初体験の激痛を上回る心の痛みにぶっ倒れ、彼に担がれて家に帰ってから2年後――。
もう恋はするものか……という決意が砕かれたのは、高校の入学式であたしに一目惚れしたとかいう同級生に押しまくられたから。絆されて付き合うことになり……彼にセカンドバージンを捧げた。
処女の時のような激痛を堪えながらも、バイトをして貯めたお金でこっそりお泊まり。勿論親には内緒。
そして目覚めた朝――また彼はいなかった。