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目が覚めたら。
第2章 とんでもないことになってました。
 
「なんだその驚き様は。まさかフェラを知らないから、教えてくれなどとは言わないだろうな? まあ知らないというのなら……」

「それくらい知っとるわ! だからその、セックスをしない案として、あたしが……く、口で10人分飲むか、ハル兄かナツのを3回分飲むかしかないってこと!? しかも3日おきに!?」

「そういうことだ。上下どの口で飲むかで実践頻度が変わるっていう話。フェラなら楽だろう、お互い」

「僕、下のお口がいい」

「お前は上専用だ。3回分で、ウルトラマンを見送って昇天してこい。ああ、シズ。俺のはやめろよ、お前の顎が壊れる。いろんな意味で」


 盛り上がる兄弟は、完全にあたしを置いてきぼりだ。

 なんでその代替案を、"楽"だと言える?

 あたしは百戦錬磨の風俗嬢ではない。

 17歳の(心だけ)乙女なんだぞっ!!


「……あたしを12年間生かした、"その他"の代替案は?」


 顔を綻ばすナツを無視して、藁をも掴む心地で聞いてみる。


「毎日お前は点滴漬けとなる。今は"貯蓄"分があるから点滴は外せているが、それに俺……というよりナツの身も考えろ。俺達をまたスッポンドリンク漬けにさせる気か」

「僕、波瑠兄みたいにあんなまずいのに頼らなくても、しーちゃん相手なら毎日何回でも……」

「俺だって年の割には持続性はある!! 普通、あの量抜かれ続けたら完全ミイラだぞ!? お前は異常に元気がよすぎるんだ!!」



「キコエマセン、ナニヲイッテイルノカワカリマセン」


 あたしは両耳を手で塞いで、やけに真剣なふたりの会話から逃げた。


 やはり、この話題には絶対触れない方がいい。

 白濁の点滴液は、麻薬以上にやばいものだ。

 あたしの防衛本能が警鐘をがんがん鳴らしている。
 
 
「あたしと相手が無事に生き残るためには、3日置きのフェラしかないのか。あれ、苦手なのに……」


 泣けてくる。

 しかも残念兄弟が相手だと思えば、さらに泣けてくる。


 なにが嬉しくて、そんなことをして生きねばならないんだ。



「しーちゃん」


 不意に耳を覆っていた両手が、ナツに外された。


「しーちゃん、そんなことまで経験していたんだ? 随分おませなんだね」


 にっこり。


 だけど笑っていない。

 ナツのアーモンド型のその目は、全然笑っていない。
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