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第7章 鬼畜帝王が暴走しました。

　

　立場をわきまえろと言われているようで、そこにハル兄との距離を感じたあたしは、自らの意志でハル兄の口腔内に舌を入れ、彼の歯の裏側や舌の根元を丹念になぞった。

　視界の中で、ハル兄の眉間の皺が深くなるのをぼんやりと感じながら、あたしなりに淫らな動きで舌を絡ませ、ハル兄の肉棒を口に含んでいるかのような錯覚にとらわれながら、その肉厚の舌を深く浅く、強く弱く……愛情を込めて吸い上げた。


　あたしがしているのに、されているかのような昂奮が体を襲う。


「……ぁ……っ」　


　やがてあたしのへたくそなキスに……ハル兄が声を漏らしてくれた時、あたしは嬉しくて涙が出そうになった。


　ああ、ハル兄も感じてくれた。

　少しでも距離が、縮められたよね？


　ハル兄があたしの後頭部を手で撫で、唇を離した。

　淫らに続く銀の糸。


　大きな喪失感に思わずハル兄にしがみつくと、ハル兄はあたしの耳もとで囁いた。



「……クソっ……」


　耳をがぶりと囓られ、あたしはひゃっと短く声を上げた。


「ひとの気もしらずに、これ以上……煽るんじゃねぇよ。……これ以上、他のオトコの影に俺を苛立たせるな。誰に仕込まれたんだなんて、ンなこと考えさせるな」


　そしてあたしの背を反らすようにして、上から凄い力で押しつけるような獰猛なキスを繰り返すハル兄。


　まるで他の記憶を消し去りたいとでもいうかのように――。


　だめだ、あたしは帝王には敵わない。


　あたしは、そのストレートの攻めを受け入れるのがやっとだった。