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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
◇◇◇
開け放たれたままのカーテン。
夜空を映す窓には、青白い満月が浮かんでいる。
冴え冴えしい月の光は、暗い室内の中であたしに覆い被さるハル兄の体を仄かに照らし出し、ハル兄の輪郭をより淫靡に際立たせた。
「は……ぅ……んっ……あっ」
あたしはハル兄の隆々とした広背筋に指を食い込ませるようにして、体を反り返せば、胸に顔を埋めて胸に激しい愛撫を加えていたハル兄が、そのぎらぎらする漆黒の瞳をあたしに向けながら、汗ばんだ熱い体であたしをぎゅっと抱きしめてきた。
まるで甘えっ子のような仕草でも、抱擁の力は強い。
裸のハル兄はどこから見ても、オトコとしか見えなくて、無性にその体に抱きついていたくなる。
視線が絡むと、どちらからともなく唇を合わせた。
「ふ……ぁっ、ん、んんっ……」
もう何度激しく舌を絡ませたのか。
それでも満ち足りなく思うのは、あたしだけなのか。
もっとこの舌に溺れていたと願うのは、あたしだけなのか。
もっとを強く願い、ハル兄にしがみつけば、ハル兄はふっと笑い……あたしの頭を優しく撫で、強引に舌を捻り込んでくる。
もどかしく動くあたし達の足は、シーツの波紋を深く刻みながら、熱を生じる場所を触れあわせる。
自然と潤むあたしの目を依然見つめ続ける漆黒の瞳は、とても甘やかなものなのに、どこか葛藤を交えるような苦しげにも思う。
それが悲しくて、あたしはハル兄の唇から自分の唇を離し、銀の糸を引かせたまま、ハル兄の青白いその頬に口角に、啄む様なキスを落とした。
キスは愛撫の手段だけではなく、鬩ぐ心を穏やかにさせる効果もある……それを教えてくれたことを反復するかのように。