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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2


 おばさんは、強靱すぎる脚力と体力で疾風のように駆ける。

 腕を引かれ、引き摺られた状態のあたしは、ぜぇぜぇはぁはぁ息切れが止まらず、思わず倒れ込みそうになり、ようやくおばさんの動きは止まった。


「よし、ここまで来ればいいわね。静流ちゃん、体は無事!?」

「はぁはぁ……ふぁ……はぁはぁ…ぃ」


 コンビニでの応戦よりも、おばさんと逃走した方が無事ではない気がするのは黙っていた。返事をするのもやっとだ。

 サバンナの帝王の母君は、一体なにものなんだ?


「あいつら……実力行使に出たのね。もしかしてうちも危ないかもね。まぁ家にはうちの子達がいるからいいとしても……さあ、おばさんの背中に」


 力尽きて動けないあたしを軽々と背負い、おばさんは颯爽と歩き出す。


 だから佐伯母――。

 貴方は一体何者なんですか!?

 おばさんは片手で小さな鞄からスマホを取り出した。

 おばさんもスマホ派だったらしい。あたしより断然慣れた手つきで、左手の親指をそそくさと動かし、画面に向けて言った。


「緊急事態発生、招集されたし」


 それだけで切られるスマホ。

 通話……だったのだろうか。


 場所を言わずに招集とは、電話の相手にいきなりハードルを上げたおばさん。と思いきや、数分後にド派手なバイクの音がして、



「シズ、無事か!?」



 派手なナナハンを乱暴に地面にり捨てて、走ってくるのはハル兄だった。

 いつぞやの特攻服を着て公園に駆けつけたハル兄の姿とダブってみえる。
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