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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
「まだ、忘れてねぇだろ? つーか、忘れさせねぇけどよ」
ハル兄の手があたしの内股を上下にさすり始めた。
この手の動きは、もう体の関係がありますと言われているようなもので、ハル兄が公然とそんなことをしでかしてきたことに対し、あたしは恥ずかしいからやめて欲しいと思うよりも、なんだか嬉しく思う気持ちが強かった。
「お前が本当に感じるのは、俺の手や舌じゃねぇだろ?
オナるほど、本当に欲しいのは俺のどこだ? ……ん?」
なんでハル兄の卑猥な発言に、ドキドキしているんだろう。
なんでハル兄の公然猥褻行為を止めたくないのだろう。
卑猥でもなんでも、初めてなんだ。濡れ場以外で、ハル兄があたしをひとりの女として、扱ったのは。
いつだってあたしは、お隣に住む年下のただのガキんちょだった。
ハル兄のうざったいほどの干渉にあえて相手になってやった心広き少女なれど、それをハル兄の"特別視"など考えたこともなく。
だから今のように、優越感に浸ることもなく。女扱いされて嬉しいなんて、思ったこともなく。
――周りに見せつければいい。お前は……俺の"特別な女"だって。
嬉しい。
それは確かに感じるあたしの変化。
ハル兄に抱かれなければわからぬ変化だというのなら、おばさんが言っていた……体からも愛が生まれるという説も頷けられる。
だが今のあたしは、それが愛かどうかはわからない。
ただひたすら体が火照るだけだ。
ハル兄の顔がまともに見られないほど。
思わず、赤く染まった顔を隠すように俯けば、
「……可愛い反応すんじゃねぇよ。俺を止めろよ。いつもはもっと噛みついてくんだろう? セックスの時だけじゃなく、日常もそうなったら俺……自分がどうなるかわからんぞ」
そしてあたしは、片手でハル兄の胸に顔を押しつけられる。
「そんなつもりで連れたわけじゃねぇのに。なんでお前がこんなにも欲しくなる。……クソっ」
ハル兄の心臓が、早いように感じたのは……気のせいだったのだろうか。