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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2

「散々焦らされているのはお互い様だろ? なぁ……部屋まで待てねぇんだよ。今すぐ入りてぇんだよ。今すぐお前を感じてぇんだよ……。――静流」


「ぁ……」


 首筋を舐め上げられて、思わず身をよじる。


「理性吹っ飛ばして……俺を受け入れろよ」


 ぞくぞくする。


「そんなに腰揺らして、お前の体は……すげぇ正直なのに」


 ああ、あたし。

 あたし――。



 こんこんこん……。



「さっさと入れろよ。静流。なぁ……」



 こんこんこん……。

 


「ねぇ、なんの音?」

「気にしなくていいから。ああもぅ、時間ねぇから俺から入れるぞ」



 こんこんこん……。



「ちょ、ちょっとストップ。本当になにこの音!」

「だから気にするなって。ちょっと観客がくるだけだから。シズ、足開け」


 観客。


「はああああ!?」




「波瑠さん、波瑠さん…・・早くして下さい。もう俺、ここ止められませんよ。来ます、集団でたくさん……」


 それは慌てたようなクソメガネの声で。彼がテラスの出入り口のドアをノックして合図していたようだ。

 やけにこのテラスにひとが来ないと思ったら、クソメガネが人を追い払っていたらしい。

 ハル兄が指示したのか、ハル兄狂のクソメガネの機転かわからないけれど。おかげであたしは、痴女にならずにすんだようだ。



 あたしは続行をねだる駄々っ子ハル兄を叱りつけ、大きくなったモノを無理矢理にズボンにしまいこんだ。

 ねじ込んだためかハル兄が涙目であたしの頬を思いきり抓った。


「それ以上に痛ぇんだぞ!? 勃起してるオトコのモノは丁重に扱え!! おかげで少し萎えちまったじゃないか」

 オトコも大変だ。

 あたしの頬も十分に痛いものだったけれど。


 しかしその痛みのおかげで、ハル兄の歩行を遮らぬくらいの大きさになったようだ。


 そしてあたし達は、間一髪で酔いを醒ましに来た手段とすれ違うようにして中に入ると、クソメガネが氷入りのウーロン茶のグラスをふたつ差し出してくれた。

 そして去り際、あたしに囁いた。



「……俺だって波瑠さんが悦ぶ顔を見たいが……あんたにべったりなナツを、忘れるなよ」



――ふふふ、しーちゃん。大好き。


 じくんと胸が痛んだ。

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