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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
「なんか……あたしばっかり、ずるい……」
「ん……?」
「あたしばっかりドキドキして、ハル兄は余裕で……ずるいっ!」
体の向きをずらして、ハル兄に抱きついた。
「余裕……?」
ハル兄の唇が、こめかみに優しく落とされる。
「お前抱くのに余裕なんてねぇよ」
「嘘だ」
今さらだと思うけれど、ハル兄の余裕が悔しくて。
余裕こそが、あたしとの経験の差であり、ハル兄が抱いた女の数が大きく関係している。
あたしに今まで彼氏はいたけれど、こんなにラブラブなことをして貰ったことはなかった。前戯よりも本番。本番が終われば消滅――。
だけどハル兄は、どこまでも消えた女相手に何度も愛したはずなのだ。
こんな風に?
もっとあっさり? もっと濃厚に?
ああ、あたし嫉妬しちゃってる……。
「シズ」
よく見えてなかったハル兄の切れ長の目があたしに向けられる。
夜景と同化したように、夜空が溶けたようなハル兄の黒い瞳に、きらきらとネオンみたいななにかが瞬き、零れ落ちそうだ。
魅惑的なその瞳であたしを捕らえ、ハル兄はそっとあたしを離すと、着ているベストとブラウスの前ボタンをすべて外した。
青白い光を浮かび上がらせて、その逞しい体を見せると、静かに微笑んであたしの顔をその胸に引き寄せた。
「余裕、感じるか?」
どくどくどくどく……。
すごい早さの鼓動が聞こえた。
それはまるで、あたしのもののように――。
「お前のも聞かせろよ」
ハル兄の手が動き、手際よく背中のチャックが下げられ……ドレスがするりと腰まで下がった。
黒いレースのブラを見られたのが恥ずかしくて、片手で胸元を隠せば、ハル兄がふっと笑いながらその手を外す。
「……勝利の女神は……黒好きか」
そしてぱちりと音がして、ブラまでもが外れた。
震えるように揺れた胸に、そのままハル兄が耳を寄せる。
「ホント……お前は俺を煽りまくる」
まるで大きな子供が、あたしの体に抱きついているかのよう。
熱いハル兄に触れられた肌が、じんわりとした熱を広げた。