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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 

「すげぇな……お前の心臓の音。頻脈で入院させちまうぞ?」


 からかうような瞳であたしを見上げながら、耳を澄ませてあたしの鼓動をうっとりと聞くその様に、さらに鼓動が早まってしまう。



 そしてハル兄はあたしをソファーに寝かせると、ドレスはおろかショーツまで引き抜き、全裸にさせた。


「……やべぇな、お前。艶めかしくて……マジ、くる」


 苦笑したハル兄もその場で服を脱いだ。

 夜の明かりに青白く照らされたその精悍な体は、彼の野生さをより神秘的にさせる。


 そして妖艶な眼差しであたしを捕らえたままに、ゆっくりとあたしの上に覆い被さってくる。



 重なる心臓の位置。

 肌から感じ合う鼓動は、とても早いもので。


 あたしの呼吸も、ハル兄の呼吸も自然に速くなっていた。



「お前と同じだろう? ドキドキしているのは。……なぁ、シズ。同じなんだろ、お前の心も俺の心も」


 斜め上から、切なげな視線が落とされる。



「同じだって言えよ……。好きで好きで仕方がないって……」


 耳から首筋にかけて、ハル兄の啄む様な唇が落とされ、片手があたしの頬を弄る。


――ふふふ、だって静流ちゃん、波瑠のお嫁さんになりたいと言っていたくらいだもの、嫌いではないでしょう?


 優しげなその手の動きに、思わず息が乱れる。


 気づけば、ハル兄の目が真上からあたしを覗き込んでいた。


「俺だけじゃねぇだろ? なぁ……お前のその顔、嘘ついているわけじゃねぇだろ?」

「……あたしの顔?」

「あぁ……。俺のこと、好きで好きで仕方がねぇって顔してる」

「そ、そんなはずは……っ」


 ぼっと顔が赤くなってしまい、思わず顔を横にそらすとハル兄は、真っ正面の位置に顔を戻してしまう。


「俺を見ろよ」

「……っ」

「その潤んだ目と欲情したその顔で、ずっと俺だけを見てろ」


 華やかな夜景を背景に、注がれる熱い視線。

 
 ああ、ハル兄から視線を外せられない。

 
 どくどくどくどく……。


 狂おしく聞こえる心臓の音がどちらのものなのかもうわからない。

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