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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
ぐちゃぐちゃと獣が咀嚼するような水音が響く。
「は……ふ……ぅんっ……」
口腔内をかき混ぜられ、舌の圧迫感に息苦しくなれば、ハル兄は口を離してあたしに酸素を与え、ちゅっちゅっと優しいキスに切り替える。
ただそれは押しつけるだけで終わらず、あたしの"口"を構成するもの全てぬるりとした舌を這わせ、あたしの官能を引き出させるような、ねっとりとした淫猥なキスになりゆく。
あたしが声を漏らすことを我慢すれば執拗に責め、声が漏れれば嬉しそうに目を細め、蕩けそうなキスに変えていく。
あれだけキスを拒否していたハル兄は、いまやキス魔と化し、あたしに官能の火を灯らせ、翻弄させる手段のひとつにしている。
この肉厚な舌で濃厚なキスをされれば意識が吹き飛びそうになる。まともな細胞を掬い取られているんじゃないだろうか。
「ん……んんっ……」
ただあまりハル兄は声を漏らさず、あたしの反応を見ることがお好きのようだ。気づけば目を開けてあたしを見ている。
獰猛さを垣間見せながらも、ハル兄は優しい。あたしを壊そうとする荒々しさを時折見せつけながらも、あたしをいたわるように攻めを調節してくれる。それを感じるからあたしは、ハル兄に身を任せてられるんだ。
息が続かずにいたあたしを見て、ハル兄はふっと甘く笑って唇を離した。
離れていくのが名残惜しいあの唇。あの銀の糸を辿って、吸い寄せられてしまいそうな心地になってしまう。
「場所を移ろう」
ハル兄があたしを抱きかかえて、ソファから、窓の真ん前に移動した。
「ベッドじゃなく?」
「あのオンナの汚部屋など誰が使うか。もっと神聖な綺麗な場所で、お前を拓いて愛でたいんだよ、俺は」
意外にロマンチストのハル兄に、あたしは照れてしまえば、
「お前は、性処理の道具じゃねぇからな」
そうまじめくさった顔でいうから、どう反応していいかわからなくなった。