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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2


 ギシギシとソファが壊れてしまいそうなほどに、大きく揺れて軋んだ音をたてる。

 ハル兄の剛胆にも思える抽送は、容赦なく胎内を攻めてくる。


「あああああんっ、波瑠、波瑠ぅぅぅっ、奥、そう、奥――っ!!」


 あたしだって、ぶるぶる震えるほどに気持ちいいのに声が出ない。


 窓に映るハル兄のモノの出し入れに、くらくらする。


 ハル兄が激情をぶつけるのは、あたしの体。

 他人のような視点しか持てなくなった、あたしの体……。


 快感を感じつつも、訴えることができないあたしは、嫉妬のような情に苛まされる。


 ハル兄が快感を導こうとしているのはあたしではなく、あたしの体をした別の"あたし"。


 その"あたし"にハル兄は、これからも愛を注ぐのだろうか。

 あたしはずっと、こうしてハル兄に触れられず、見ているだけしかできないの……?

 あたしの快感は、闇に消えた"疑似"にすり替わるの?


 やだやだやだ!!


――おいコラシズ!!


 優しくされなくてもいい。

 愛されなくてもいい。


 だけどあたしを見て欲しい。

 あたしに触れて欲しい。



「あああああっ!!」


 こんなはしたない声を上げた"あたし"ではなく。

 あたしの声を聴いて欲しいのに――。


「こんなに大きく股拡げて、その中央の淫汁溢れさせて俺様のモノがぶち込まれたのが、ちゃんと目に映ってるか!?」


 獰猛なのは動きだけではなく、口調まで荒い。


 ずんずんと容赦なく貫かれる感触。


「あああ、いい、もっと、もっとぉぉぉぉぉっ!!」


 うらやましい。

 ああして、堂々とハル兄に愛される"あたし"が。


 あれはあたしなのに。

 あたしはなんでここに居るの!?


 ハル兄、ハル兄、気づいて!!

 あたしはココに居るの!!
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