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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
見たくない。
戻れないのなら、すべての世界はいらない。
あたしは泣きながら目を閉じた。
あたしはここから、ハル兄が捕らわれないことを祈り続けるしかない。
通じない心だけど、祈りだけはどうか届くように。
否、それだけじゃない。
ハル兄の、感じているあの苦悶の顔を見ていたくないんだ。
「静流っ!!」
熱に浮かされたようなその声を聴きたくない。
心が苦しくて、胸が張り裂けそうになる。
「静流――っ、戻ってこいっ!!」
――え?
「あたしはここに……あああ、駄目、それっ、ぁあんっ、あんっ、あああんっ、もうお腹がいっぱいだよぉぉぉぉ!!」
「お前じゃねぇよ。俺が呼んでるのは、俺が心底抱きてぇ方だ。俺の精液に塗れてぐだぐだになった淫魔如き、もう用はねぇ」
えええええ!?
ハル兄……気づいてくれていたの!?
「な、なにを……っ」
「言ったろうが、俺をけしかけて後悔するなって。媚薬で興奮MAXの俺の性欲と体力は、お前より上だ。なぁ、淫魔……意志を持ったSホルモンさんよ」
ああ、泣きそうだ。
「あんな嘘っぽい"愛してる"如きで、この俺を簡単に騙して食らえるとでも思ってたか? お前より俺の方が静流をよく知っているんだよ!!」
そんな最初から、気づいてくれていたなんて。
「お前の弱点は、好物である精液。それを大量に搾取するためのオトコを消すほどの力は、表に出てきた代償に大方失っている。だから今、どんなに激しく突いても俺を捕らえるイソギンチャク効果は前ほどねぇんだよ。
だとしたら。俺の精液を大量に浴びせ、Sホルモンの活性化をさらに弱めて、イソギンチャクを役立たずにさせさえすれば、俺の独壇場。俺をナメんじゃねぇよ」
ハル兄……。