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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
あたしの前で、美しい顔が不機嫌そうに歪む。
「………。おい、ナツが心変わりしたと心でベソかくおばさん。今度は俺に矛先向けたのか? あんた常に同時進行してないといけないタチ?」
「ち、違うわよ。あたしはココロはピュアなの。これはひととして普通の反応よ、このナルシスト坊や。IQの高さは、乙女ゴコロを理解するまでには至らぬようね、ご愁傷様」
「ああいえば、こういう……。本当に可愛くない女」
「うるさいわね、あんたといるあたしは急に可愛げがなくなるのよ。あたしに可愛くさせたいのなら、もっと男を磨きなさいよ」
そしてあたし達は、睨み合う。
「ナツが来たら。俺がはっきりさせる。あんたは、永遠に知らぬフリしてナツのところで笑い続けるか、ナツから突然去って終わりにしようとするから。事実確認せずに」
「確認もなにも。あたしその場にいたんだってば。あんたこそあたしに構って変なお節介せずに、彼女作りに励みなさいよ」
「俺はナツのダチなんだよ。あいつのことは俺が一番よくわかっている。あいつは、あんた以外に心奪われる男じゃないんだ」
必死になるクソメガネ。
そこまでナツが大事なのか。
「……おい、ふと思ったが……ナツ、ここに来るよな?」
「さあ?」
「言ってないのか、ここに来ること」
「うん。ナツの手を借りずに本見つけようと……。あたし自立することにしたの。で、ナツに言わずにここにきちゃった」
するとクソメガネはため息をついた。
「あんたさ、自立するのはいいけど人様に迷惑を……ああもういい。もうあんたのその場で思いついたような無計画かつ、自分勝手な無鉄砲ぶり、今さら正す気力もない。電話は? ナツからすごい履歴になってると思うけど」
取り出したあたしのスマホは電源を切ったまま。
クソメガネが苛つきながら取り上げて電源ボタンを押せば……。
「……留守電、メール軽く二桁。相手はナツ……と、波瑠さん。波瑠さんまでひっぱりこんだのか!?」
「いや、ちょっとあの……すぐ切ったんだけど」
なんか……やばい?
シカトになったの、まずい?