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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
 

 ザァァァァ……。


 ハル兄がなかなか帰ってこない。もしかして、本当に二次元ではない猥褻本を買いに行ったのだろうか。もしも外に出かけて、エロ本片手に雨に濡れて帰ってきたら、あたしがその本を拒んだ時点で、どんな報復が待っているのかわからない。


 どうやって切り抜けよう。


 必死に考えた挙げ句、出てきた案は"寝たふり"をすること。

 とりあえず、その時その時をやりすごそう。堅実こそが一番。


 ……その時、部屋の外に足音がした。

 やばい、ハル兄が帰ってきた。


 Let's 寝たふり!!


 布団を深く被り、目を閉じて……今具合悪くて就寝中ですアピールをする。耳には消し忘れた、寒い笑いを提供する老舗禿げコンビ。観客の乾いた笑いが空しすぎるよ……。

 
 ガチャリ……。

 ドアが開く音がして、同時に滑車がついたなにかがギィィ音をたてた気がする。鼻に漂うのはアルコールの匂い。

 ハル兄がよく運んでくる、注射器のセットを乗せたワゴンだろう。

 採血は終わったはずだったけれど、また検査があるのかもしれない。


 顔に視線を感じて、なんだか嫌な汗が出てくる。

 狸寝入りがばれているのだろうか。

 しかしハル兄、酒臭いよ。注射消毒のためのアルコールはここまで匂わない。もしかしてコンビニで酒を買い込み飲んだのだろうか。ひとには酒は厳禁だと言っておいて、自分は酔っ払いか。

 酔っ払いで採血できるのか!?


 言いたいのに言えない。

 寝たふりも結構辛いものがある。


 そう思っていた時――。


「げへへへへへ」


 ハル兄とは思えぬ、下卑た奇声に思わず目を開けたあたし。

 そこにいたのは――。


「ひぃぃぃっ!?」


 ピンク色のナース服とナースキャップを被った、歯っ欠けジイサン!!

 誰だよアンタっ!!


 ぼさぼさの白髪頭に、口からは酒臭。

 しかも、下っ!!


 ピンクのスカートの前部に入った亀裂。


 なんか見えてるよ。

 女には持ち得ない黒黒としたなんか、元気よくぶんぶんしているの見えてるってばっ!!


 やばいっ。

 ナツ以上の変態さんが来たっ!!

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