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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
「………」
静まり返った病室の雰囲気が嫌で、テレビをつけた。
12年前新人だったお笑いコンビが、かなりのベテランとなって先輩風を吹かせていたのに驚いた。少しは成長したのかと思いきや、12年経っても退屈で寒いネタは変わらず。変わったのは禿げ上がった髪の毛くらいなもので、12年ぶりに見ても、このコンビの面白さが全くわからない。
ザァァァァ……。
昼間はあんなに晴天だったのに、突如豪雨の音が響いてきて、思わずカーテンを閉めた窓を見遣る。
ハル兄が赴いただろうコンビニは建物内にあるから、雨にはあたらないだろう。
この特殊病棟から2つの渡り廊下を経て、外来棟から一般入院病棟に出た一階にあるらしい。売店自体どの棟にもあることはあるが、夜遅くまで営業してタバコを売っているコンビニは、ここから一番遠い入院病棟しかないとナツから聞いた。
なんで入院患者にタバコを売るのかがよくわからない。
わからないといえばこの特殊病棟とやらもそうだ。
公的施設であるこの有名な病院に出来た"別館"扱いの病棟は、5階の高さもあるのにワンフロアにはあたししかいないという異常事態。
しかもナツと出かけた時に看板で確認したところ、階下にあるのは病室ではなく、臨床検査室やら病理検査室やらで、実質の所あたしひとりが独占状態。
こんなところを12年も使わせて貰えていることが奇跡的。
これはハル兄のおかげなんだろうか。そこまでハル兄は偉いのだろうか。……もしや院長の娘を誑かして言うことを聞かせているのかも。
うん、多分そうだ。思いきりしっくりくる。
それを諫めれば、恐らくは12年もの入院費用を一括で支払えとか平気で言ってきそうなハル兄を思い、顔も知らぬ院長娘に密やかに手を合せた。