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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
「では解答~」
8番同士を答えにしたのは、あたしと……モモちゃん。
それ以外はいなかった。
そして答えを待つこと数秒――。
「はい、8番同士が正解――っ!!」
「やったぁぁぁぁぁ!!」
「飛び上がるなーっ!!」
モモちゃんが机を越えて駆け寄り、腰からずり落ちる寸前でパーカーを受け止め、さささと巻き付けてくれた。
さすがはバトラーモモ。
あたしは執事によってお着替えをして貰っているような格好だ。
「何度……言わせるんだ。あんた……俺より年上だろ!?」
「は、はい……」
モモちゃんはふるふる震えている。
「態度を改めろ!!」
「は、はい。いつもすみません、お世話になっております」
帝王から教わった、感謝のお辞儀。
「誰が馬鹿丁寧に挨拶しろと言っているんだ!! 大体あんたは最初から、緊張感というか状況判断が……ん?」
モモちゃんが周囲を見渡した。
するとそこには、にやついた観客の視線。
「こんなど真ん中で、腰に抱きついていちゃついちゃしちゃってLOVELOVEだNE~。なになになに~。お兄さんの方がベタ惚れなNO~?」
状況判断が出来ない行動を起こしたのはモモちゃんだと思われている……そんな不条理さこそが現実。
「も~、シタばかりのカップルは、HOTHOTHOTっ!!」
メタボ司会者に扇動されたように、観客から「ひゅーひゅー」と黄色い野次が飛ぶ。
ゆ~ちゃんは目に手をあてて、ひょこひょこ小躍り。
「なっ!! ななななっ!!」
チェリーを卒業したばかりの(あくまで妄想上で)モモちゃんが、初々しく沸騰寸前のお顔で慌てて飛び退けば、またどこかでばきっという何かが壊れたような音が響いた気がした。
いちいち、オーバーリアクションをしてくれる観客がいるらしいが、モモちゃんの感情表現も大きくなったような気がする。
よかったね、モモちゃん。
モモちゃんの成長、初恋の綺麗なお姉さんは嬉しい。