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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
 

「……?」


 すごく熱っぽい。

 無性に喉が渇く。


 そして……結合部分に、今まで感じなかった不可解な熱さを感じた。


「おうっ!!」


 びくんとオットセイが起き上がる。

 驚いたあたしが身を捩った時、膣から痛みではないなにかを感じた。



「ハル兄……なんか変」

「……シズ?」

「ナツの時みたいに、心臓がトクトクして息が上がって苦しい……」


 あたしの顔を覗き込んだハル兄は、顔を顰めさせて息を詰めた。


「……ちっ、なんて顔で欲情すんだ。ビールの残骸……被ったのが原因か?」



「お……うっ!!」


 オットセイが、腹筋をするようにばたばた始めた。

 白目を剥いて口から泡を吹いている。



「ハル兄、なんか恐い。ねぇ……体が変なのっ!」

「Sホルモンが……活性化しているんだ」


 ハル兄がぎゅっとあたしを抱きしめた。


「ここから先、お前は見るな」

「え……?」


「静流」


 名前を呼ばれて、あたしの意識はハル兄にもっていかれた。


 あたしの視界の全てはハル兄に染まる。

 ハル兄の匂いが充満する。

 あたしの世界がハル兄だけになる。


 その中で響く奇声。


「おぉぉぉぉぉぉぉ」


 長い雄叫びが……やがて消えた。


 ありえないはずなのに、部屋に風を感じた。

 ありえないはずなのに、砂が零れる音を聞いた。


 視界の隅で、床に舞い落ちるピンク色。

 痛みがなくなった胎内。


 本能的になにが起きたのか、あたしは悟った。



「シズ……最初から、この部屋には俺しかいなかった」



 あたしと繋がっているのは、ハル兄だけ。

 そう、最初から……ハル兄だけだった。


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