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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
「隠れてこそこそしなくていい。だからといって開き直られるのもあれだけど…。お前が僕に遠慮して、こそこそと罪悪感ばかり感じるような相手を、僕は好きになってはいないよ。……応援はできない。だけど、お前の心がなにか少しでも柔らかくなったり、明るい変化があったというのなら、それは僕は両手をあげて喜びたい。だってそれが友達だろう?」
「ナツ。俺は、自覚はしてしまったけれど、お前に知られてしまったけれど、だからといってあのひととどうこうなりたいわけじゃない。優先順位はお前の方が完全に上だ。ただ……」
「ただ……?」
「――…お前が羨ましい」
「サクラ……」
「波瑠さんが…羨ましい……っ」
「……」
「……俺は、ひとから羨まれ続けてきた。その俺が、お前達が羨ましくて…。あのひとが一番輝いていられるのは、俺のもとではないんだと思ったら、胸の奥がもやもやして。……それが今の正直な気持ちだ」
「……サクラ。他の男を羨ましいと思うのは、きっと誰も同じ。だって恋をしているんだから。……僕はね、お前とこの恋の酸いも甘いも共有出来て嬉しいと思う。
ひとつだけ言いたい。……サクラ、自分を恥じないで。相手がしーちゃんだから、サクラは好きになった。ただそれだけのこと。選ぶのはしーちゃんなんだし。僕だって選んで貰えるまで頑張るつもりだし。
だからお前は自分を責めないで。自分を追い込まないで。僕は、お前と親友やめる気はまったくないから」
「ナツ……っ」
「当然だろう? こんなにいい親友は、世界中どこを探したってお前以外に見つからないよ。しわしわでよぼよぼのお爺ちゃん同士になっても、縁側で梅昆布茶啜りたいよ、お前とは」
「ふ……ふふ、なんで梅昆布茶……? お前それ苦手だったろう?」
「知りたい? じゃあその理由は、60年後に教えてやるよ」
「……ああ、じゃあ60年後、ちゃんと答えろよ?」
「勿論。約束だ」