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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美

「なんでこんな時にピュアピュアぶって真っ赤になるの!! あんたダークチェリーに変身していたんでしょう!? なんでピュアに戻るの!!」
「……いきなり呼び捨てにするなよ。こっちだって心の準備というものが……」
「なにぶちぶち……。大体、モモちゃんのくせにあたしを騙そうとするのが気にくわない。それになによあの熱烈告白ラッシュ!! 演技だろうが加減を知りなさいよ。あそこまで言わなくても、あたしもう真っ赤だったでしょう!? 無駄にドキドキしすぎちゃったじゃないの!!」
「騙してなんてない!!」
モモちゃんは、あたし以上にムキになって言った。
「俺は、自分からという経験がないから……、チャラっぽい口説き文句で女をどうすればドキドキさせるのかわからない。だから、本当のことを言うしか出来ない。……加減なんて知るかよ。"無駄"なんて言うな」
そこにはダークさはなく、ピュアというよりも切なげで。
「ほ、本当のこと?」
聞き返すとモモちゃんは途端にびくぅんと大げさなほどに反応し、がしがしと頭を掻き毟った。
「俺はっ!! ナツも波瑠さんも裏切るつもりはない」
その台詞は何度も聞いていたけれど、それでは答えになっていない。
モモちゃんはじっとあたしを見ると、手の中にある……あたしから取り出したクネクネに、そっと唇を落としたんだ。
卑猥極まりないあの玩具を、まるで聖なるもののように。
そして言葉を出せずに固まるあたしの前で、長い睫毛をふるふると震わせ、そしてやるせなさそうなため息をひとつつくと、あたしを見た。
「俺にドキドキするあんたは……可愛かったよ」
今にも消えて無くなりそうな儚い笑顔――。
「ありがとう、思い出をくれて」

