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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 


「しーちゃん……」


 か細い声が聞こえてくる。

 異物を突っ込まれて呼吸が浅くなるのは、あたしもわかる。

 要は、それが気持ちいいか気持ちよくないかの問題だ。

 大腸検査ですよ~なんて無粋な真似はしたくない。


「しーちゃん……抜いて……」


 この良心がじくじく痛んできそうな儚げな声に、うっかり指を抜きそうになってしまったあたし。指が動くと、


「……ぁぁ……」


 ナツから、気持ちよさそうな声が聞こえてくる。

 聞き間違いかと思って、動きを止めると、


「早く……」


 潤んだ目でせがまれては、しーちゃんは萌えてしまうではありませんか。

 ちょっとだけ、中指を抜いてまたぷすりと挿してみる。


「ん……っ」


 桃色吐息がナツの口から漏れる。

 さっきまで色を失っていた顔は今は上気して、なんとも色っぽい。


 穴に淹れたがる殿方達の気持ちがわかった気がした。


 挿して抜く…それだけでこんな可愛い反応がくるのなら、確かにずっと抜き差しして果てまで押し上げてやりたい気がする。

 だが簡単に動くことができないほど、ナツの肛門は緊張なのか締まって、あたしの指を咥えてくる。


「ねぇ、しーちゃん…抜いてよ……」


 可愛い生き物が息も絶え絶えにあたしに訴える。今にもぱたりといってしまいそう。

 色気を垂れ流して、あたしの指が動く度に、官能色濃いその顔を、淫らに歪めさせて、熱い息を零す。

 このまま動かして行きたい気もするが、やはりここは――。


「んっ……」


 抜き差しすればなんとかなくだがわかる。

 ナツが気持ちよさそうにするのは、ハル兄が言った周辺。


 中指の第二関節を曲げた付近。


 ここか。

 ここがそうなのか。

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