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目が覚めたら。
第11章 鬼畜帝王が甘えました
 


「子供出来ないんじゃなかった?」

「出来るように何度も、浴びせる。じいさんになってもずっと」

「……だけどハル兄、じいさんになったら」


 あたしはナッちゃん人間を手にした、元サバンナの住人の姿を思い出すが、これを言わないのをモモちゃんと約束したんだ。

 ハゲて、入れ歯ふがふがするよとは言えない。

 だけどまあ、姿態がどんなものになろうとも、現役で色々なことをしている点では、ハル兄と共通しているかもしれない。


「……あたしそこまでハル兄を縛りたくないよ」

「……」

「今ので十分。今だけでも感謝してる」

「……ナツなら……」

「ん?」

「ナツなら、子供欲しいか?」

「同じだよ。あたしナツも縛りたくない」


 たとえ、運命でも。


「俺とナツは同格?」


 お戯れ中の手が止まり、ぎゅっと強くあたしを抱きしめてくる。


「それとも、ナツの方が上?」


 あたし頭上に、ハル兄の頬がのせられたようだ。


 ハル兄ほどの傲岸な男が、自分が上だろうと断言しないのが不思議だ。


「ハル兄、俺様だったよね」

「そうだ」

「俺の方が上だな、とは言わないんだ?」


 頬を擦られた感触がある。


「言えねぇだろう。さすがに俺だって、嘘はつきたくねぇや」

「……え? 嘘だらけだったくせ「あ!?」」

「いいえ……」


 しばらくして、あたしは言った。


「ハル兄とナツは兄弟だけど別な男だと思ってる。同格に思ったこともないし、優劣つけて思ったことはない。ハル兄はハル兄の素敵さがあり、ナツはナツの……」

「俺の素敵さって?」

「え?」

「答えよ」


 帝王様モードになってしまった。

 帝王様のいいところは……。


 ……あれ?

 ……おや?


「……なんで出てこねぇんだよ」


 頭を顎でぐりぐりされた。
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