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目が覚めたら。
第12章 鬼畜帝王が考えました
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「では、お夕食は夜七時、こちらのお部屋にお持ちするということでよろしいですね?」
ねぇ、仲居さん。それ何度も聞いたから、ここはさっさと空気を読んでお部屋から出ましょうよ。
「ああ、いや六時にしようかな。お前はどうする、シズ」
ハルさん、ハルさん。あたしが押し入れになんで隠れたのかわかっているなら、押し入れをわざわざ開けておしりをぺんぺん叩かなくてもいいと思うんですが。いつも通り、あなたが即断でさっさと予定を決めて、仲居さんを帰して下さいよ!
あたしは隠れているんです、ええ! 頭隠して尻隠さずですが、時間がなかったんです!
どうやら、ハル兄はあたしと一緒にイくタイミングを合せていたようだったが、言い出しっぺのあたしがさっさとひとりで上り詰めてしまい、置き去りにされたハル兄は焦った上でブレーキも利かず、淫魔もいないのにあたし本位の結果となったことに、ご立腹。どうしても帝王優位で事を進めたいらしい。
不機嫌そうなハル兄にがぶりがぶりと鼻を噛まれて、極上のセックスの余韻はどこへやら。あたしがいかに自分勝手で非情かを、ハル兄に散々と罵られた挙げ句、名誉挽回と再びあたしのナカに挿れようとしたハル兄を制したのは、実にタイミングいいノックの音だった。
――放っておけ、仲居だ。お前が"ぐちゃぐちゃにして"と言った時から、辛抱強くいる。"イッちゃうイっちゃう"と、俺を残して勝手にイッたのも、すべて外で聞いていただろうな。仕方ねぇ、そこまで見たいなら見せてやるか。おぅ、何だ部屋に入ってこい。
――な、なんですと――っ!?
この男、最中に仲居さんを呼ぶつもりなのか!
カチャリとドアが開く音がする。
慌てふためくあたしはハル兄を突き飛ばして、一目散に押し入れの中に隠れ、ふすまを閉めて息を潜め、居留守を使ったのだった。