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不器用なくちびる
第13章 決断
先週の土曜日

香山はカフェに来なかった。
それだけじゃなくて
約束してた祭りにも行けないし、
カフェにももう行けないって…
メールひとつ寄こしただけだった。

香山に何が起きたのかは
わからなかったけど…
不思議と俺に迷いや焦りはなかった。
なぜか2人の繋がりには自信があった。

瑞希と早く別れて、香山を迎えに行く。
俺にできるのはそれだけだ。
もし香山がおれのせいで悩んでいる
のなら、どれだけ時間をかけてでも
その不安を取り除こう。

今まで充分時間がかかったんだ。
少しくらい会えなくったって
なんてことない。
俺はそう思っていた…

次の日は瑞希と会うことになっている。
瑞希には悪いけど…
運命のいたずらで、
瑞希と付き合い始めたのと
ほぼ同時に香山と再会して…
俺の気持ちは初めから決まってたんだ。

すぐに別れを切り出せなかったのは
瑞希を傷付けるのが怖かったから…
でもそんな優柔不断な俺の態度が
香山も瑞希も傷付けたんだ。
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