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不器用なくちびる
第21章 橘 19才
瑞希の父親が
多額の寄付をしてくれるというので…
俺は瑞希の家に呼び出されていた。

父親は多忙で、
話をしたのは20分程ですぐに
瑞希の部屋に連れて来られたが…
話の分かりそうな人物だった。

自分の娘が陰でどんなことをしているか
…もちろん知らないだろう。


「彼女の部屋に初めて来たのに…
気が利かないのね。
何かすることあるんじゃない?」


瑞希が俺のくちびるに
くちびるを押し当てる。
そして、俺のネクタイを緩めると
首筋に舌を這わせてきた。

何も考えるな…考えちゃダメだ。

しばらくそうした後、
瑞希が俺の股間に手を伸ばすが…
そこに熱は無かった。


「フン…ますます欲しくなるわ。」


瑞希が俺の身体から離れて行く…
瑞希が肌を晒して俺を求めたのは
一度だけで、最近は
試すようなキスをするだけだ。

俺は瑞希に他に
男がいるんじゃないかと踏んでいる。

なんで俺なんかにこだわるんだ…
それとも香山にこだわってるのか?
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