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不器用なくちびる
第22章 【春菜 19才】
きっと椎名は全部わかってて
私の顔を見ないようにしてくれてる…

ほら、私の初恋の人は
やっぱりいい奴でしょ?

そして2番目に好きになった人も…


「で…お前はどうなんだ?」


前を見たまま椎名が訊く。


「男ならいませんよ?」


涙を拭いて答えると
クックック…と椎名が笑う。


「お前キレイになったな。
今のお前ならすぐに
男できるんじゃないか?
俺の勘は当たるんだ。
それに…俺の初恋はお前だったんだぜ?
まぁガキの頃の話だけどな。」


そうだったんだ…私が
しいなのおよめしゃんになりたい!
とか言ってた頃…
あの頃だけは両想いだったんだね。
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