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不器用なくちびる
第6章 策略
「…うるせ〜な!
お前は何なんだよ!友達ヅラして
ずっと裏切ってただろ〜が。
香山のこと気に食わなかったんだろ?
吉井のことバラして楽しんでただろ…
それに香山が俺ん家来てるの
窓から見てたよなぁ?
ヤられてると思って笑ってたのか?」


「あ…私…私そんなつもり…
ごめ…ごめん栞…」


私を抱きしめてくれていた
春菜ちゃんの手が、震えながら
離れていってしまったけど…
今の私はその手を掴む気には
どうしてもなれなかった。
…春菜ちゃん…


椎名は止まらなかった。


「ほんとのことだろ〜が。
香山、もっといい事教えてやろうか。
あの写真撮ったの、橘だぜ?
それに橘は俺に言われたから
お前に優しくしただけだ。
なぁ?橘?」


「そ…れは…」
橘くんの顔色が変わった。


嘘…!そんなはずない。
そうだ、そんなはずない!!
椎名の方がおかしいんだ。
春菜ちゃんだって、橘くんだって…
そんな人じゃない。

お願い早く違うって言って…!
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