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不器用なくちびる
第6章 策略
私が言いたいのはそんなことじゃない!
そう言おうとした私と椎名との間に
橘くんが立ちはだかった。


「いい加減にしろよ!
もう香山を解放してやってくれ…
それに俺は
もう誰の言うなりにもならない!

もう昔のことを持ち出しても無駄だ…
過去に何があっても自分の力で
乗り越えなくちゃならないって…
頑張ってる香山を見てて気付いたんだ!
だから椎名ももうあのことは…」


「わかったぞ…」


突然、波田野が立ち上がった。


「香山とヤらなかったんじゃなくて
最後までヤれなかったんだろ⁈
俺知ってるぞ、お前のいもう…」


それは言ってはいけないひと言だった


何も知らない栞でもわかるくらい
その場の空気は凍りつき…

椎名は波田野を殴り飛ばすと、
波田野が意識を失っても
そのままめちゃくちゃに
殴り続けたのだった。
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