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可愛いヒモの育て方。
第19章 キズ

 切ってすぐ、バイブが震えた。今度はメール。相手は麻人だった。
 私は高鳴る鼓動を抑え、すぐにメールを開いた。
 すみません、急に友達に飲み誘われちゃって……。友梨香さんち、今日は行けないかも。掃除終わりました? あとでチェックにいきますよー。
 内容はそんな感じのこと。あまり使わない絵文字や顔文字が使ってある。
 その文面を見た瞬間、激しい怒りにも似た気持ちが込み上げてくる。
 だって、もしこのメールを店長とのやり取りをしないまま見ていたら。もしくは、もっと早い時間に読んでいたら。きっとなんの疑いも持たず、メールの内容を信じてしまった。
 急なドタキャンにがっかりして凹みながらも、仕方ないかと諦めて。麻人が今どんな状況で、どれだけ不安な気持ちを抱えているか、考えることもないまま。
 嘘に気付くことすらできなかった。……そんなやるせないことってないじゃん。
 私はすぐに麻人に電話をかけた。長いコール音のあと、留守番電話サービスに切り替わる。またかける。出ない。もう一度。それを何度か繰り返した。こんなに誰かにオニ電したこともなかった。
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