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可愛いヒモの育て方。
第19章 キズ

「それでも、お母さんの一番そばにいて、一番お母さんを支えてあげなきゃいけないのは麻人だから……」

 頭を撫でる手を止め、背にまわした。

「辛くなったら私のうちへおいで。部屋片付けて、ご飯も作って待ってるから。愚痴だって聞くし、麻人が望むことなら、なんでもしてあげる。してあげたいの。いつでも逃げ場所にしていいから……」

 そこで言葉は途切れる。込み上げてくる激情と涙で、また言葉がつっかえた。
 麻人の体を精一杯抱きしめる以外、もうなんにもできなかった。
 年齢のわりには幼くて、頼りない肩が震えている。麻人も泣いていた。羽織っていたパーカーを握りしめ、私の胸に顔を埋めて。嗚咽を噛み殺す声が、なおのこと痛々しかった。
 私も麻人もまともに言葉を喋れるような状態ではなく、病院のすぐ脇で、馬鹿みたいに二人して泣いていた。
 吐き出し終えて高ぶった気持ちが落ち着くまで、お互いの体を抱きしめたまま、長い時間そうしていた。
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