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第20章 好転

「はーい」

　仕方なくドアを開けると、まだ多分二十代前半くらいのお兄さんが、爽やかな笑顔で宅配物を渡してきた。白い箱だ。

「お届け物でーす！　あ、サインお願いしまーす」
「……はいはい」

　お兄さんの声が聞こえたのか、電話越しに彩乃は爆笑していた。
　電話で片手が塞がっていると、サインするにも不便だ。

「ありがとう、ナイスなタイミングで届いたわ。じゃあまた！」

　ぷつりと、通話を終了させる。
　それから宅配物を受け取りすぐさま中を確認すると、本当に縄と緊縛もののDVDが入っていた。びっくり。ガチで彩乃のやつ送ってきやがった！

「本格的すぎるだろうよ……」

　DVDのパッケージは豊満なボディーの若い女性が全裸で緊縛されていて、しかもそれが、かの有名な亀甲縛りというやつで、私は盛大にため息をついた。
　こんなん麻人に見られたらまた変態呼ばわりされそうだし、そろそろあっちも本気で引きそうだ。

「よし、隠そう」

　とりあえずベッドの下に突っ込み、仕事に行くためのそのそと準備を始めた。