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第20章 好転

　ハンバーグは予想通り、これまたびっみょーな味だった。肉は固いしパサパサしている。ソースは市販だから普通に美味しいけど。

「これ、卵入れました？」
「卵？」
「卵入れないとこねた時まとまらなくないですか？」
「…………」

　口をあんぐりと開けたまま、固まる私。だからか、だからこんなにパッサパサなのか。

「……やっぱり珍味だ」
「ごめんね、仕事終わりに思い付きで作ったから、レシピとか見てなくて」
「レシピってか、普通に常識……。まあ、美味しいですよ、味は」

　それはね、市販のソースだからよ。
　今までも、ハンバーグ含め代表的な料理は作ったことあったけど、一応レシピを見ながらだった。見ればそれなりに作れてたんだけどなぁ。
　麻人はよく私の家にくるたびに、料理を作ってくれたけど、レシピなんて見ている姿をみたことがない。分量をしっかり計ってる姿も見たことないし。
　いろいろと、主婦業に関して負けている気がして凹むんですけど。

「部屋……」

　ふいに麻人がつぶやいた。

「部屋、めちゃめちゃ綺麗になりましたね。なんか女性の部屋にいる感じがしてちょっと落ち着かない」
「……女性の部屋なんだよ、ここは！　もとから！」