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可愛いヒモの育て方。
第20章 好転

「これじゃいつもと同じじゃん……」

 満タンの湯にざぶんと浸かりながらつぶやく。私の体積の分湯が溢れ出る。集めの湯に肩までどっぷり浸かり、ついつい性欲が先に出てしまう自分の行動を反省した。麻人を目の前にすると、無性に襲いたくなってしまうから困る。

「その前に返事……」

 今日は、ちゃんと返事が聞きたいのだ。
 なんて切りだそう。入浴中はそればっかり考えていた。
 風呂から出ると、麻人はキッチンにいた。洗い物を済ませてくれていたらしい。

「あらありがとー」
「珍しく、友梨香さんがこげこげの夕飯作ってくれたから、これぐらいやりますよ」
「焦げた部分は削った!」
「……そんな威張ることじゃないでしょう?」

 呆れたように言う麻人。それから思い出したように、冷蔵庫を開けた。

「そういえば、なんかいっぱいお酒ありますね。珍しい」

 ああ、と思う。麻人と飲もうと買っておいて忘れてた。

「明日休みだし、一緒に飲もうと思って」
「酎ハイとビール?」
「焼酎と梅酒もあるよ。この前彩乃と飲んだ残りが。つまみはあんまないけどね」

 本当はご飯を食べる前の方がお酒は美味しいけれど、空腹だとアルコールがまわりやすい。また酔いつぶれるのはなぁ。
 そういうわけで、夕飯はしっかり食べてからお酒を勧めるつもりで忘れていた。

「お腹いっぱいだし、つまみはいらないです」
「じゃあ、軽く飲むか」

 二人で冷蔵庫から好きなものを選び、部屋へと戻った。
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