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第21章 好きな人

「胸ばっかじゃ、やだ……」

　もっと別の場所に刺激がほしい。だらしなく蜜をこぼす蕾の奥を、麻人ので貫いてほしかった。
　麻人は無言で口付けてくる。

「ベッド行きます？　このままここで押し倒したくなっちゃう」

　顎や首、鎖骨に唇を這わせながら、麻人が言う。唇を肌に押しつけたまま喋るからくすぐったくて、そんな小さな刺激すら、敏感になった体にはつらい。
　何度も浅い呼吸を繰り返した。

「……欲しい？」

　麻人は茶色い瞳を細め、私の頬に手を添えて聞いてくる。甘い眼差しに、とろけそうだった。
　ちゃんと返事くれないし意地悪なのに、そういう顔をするのは本当にずるい。
　だけど甘い誘惑に、逆らうなんてできない。
　私は頷いて、麻人を求めるように再び口付けた。
　ベッドに移動しようとのそのそと立ち上がった時だった。
　ふいに麻人の視線が、ベッドの下で止まった。

「なんすか、これ」

　上半身をかがめ、ベッドの下を覗き込む。
　さっきまでのエッチな行為でぼーっとしていた私の頭は、何拍か遅れて働きだした。
　はっとして、慌てて麻人を止める。