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第3章 ジュン。

普段の私は紳士服売り場で働く、
平凡なＯＬに過ぎない。

毎日、来る客に笑顔の接客で
対応して時間が過ぎる。

出会いがない訳でもなかった。
接客したお客の中には、
こっそり名刺を渡す人も居たが、
ときめかなかった。

セックスアピールを感じないのだ。
この男に抱かれて、
めちゃくちゃにして欲しいと
願える私にはなれそうもない人ばかり。

合コンなどにも参加したが、
暇つぶしであり、
寂しいよりマシ程度の感覚。

会社の同僚などからは、

「沙織は理想が高い。」
とお高くとまっているような嫌味を言われるが、

「大学の頃、大失恋をして立ち直れない。」
と打ち明けると、
同情もしてくれる。

「勿体無い、
沙織、可愛くてスタイルもいいのに。
取り敢えず、忘れる為にチャンス見つけなよ。」

職場友達の理奈は言う。

理奈は短大を卒業してから、
このデパートに勤める。
歳は私と同じ歳の２２歳だが、
社会を２年早く知っているだけあり、
大人びた女性。

先輩でもあり、
仲良くしてくれている。

プライベートでは彼氏が居るようだが、
平日休みのこの仕事は、
なかなか思うように会えないらしい。

理奈は合コンなどで、
彼氏以外の相手を見つけて浮気する。

「結婚を約束したわけじゃないし、
むしろ、自分に合う男を探すのは当たり前。
彼氏以上ならそっちと付き合うし、
そうでもしないと出遅れちゃうわ。

浮気するとね、
罪悪感からかな？
彼氏に優しく出来る。
会えない時間も埋まる。
寂しくない。

沙織、
内緒ね。」

理奈はランチを食べながら、
恋愛論を語る。


なるほどね‥‥‥
と頷ける私が居た。