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イヤよイヤよも好きのうち
第7章 にいづま


『今夜は遅くなるそうなんです。今、携帯に連絡が入ってて。朝方になるだろうって。』
『あー…課長あたりに捕まったのかな?飲み好きの上司がいるんですよ。あいつ、朝からプレゼンなのに…大丈夫かな。』


一応、平静を装ってお茶をいただく、俺。
書類は無事に奥さんに受け取ってもらったので、お茶を飲み干せば、帰るつもりだ。
『寂しいな…』
奥さんが、ぽつりと漏らす。
『はは…コウタは羨ましいな。こんな可愛い奥さんが、待っててくれるんだから。』


彼女を見たのは、これが2回目。
初めて見たのは、彼らの結婚式だった。
上司の下手くそなスピーチを、まっすぐ真剣に聴いていた奥さんの姿は印象に残っている。
その隣で、コウタが飽き飽きした表情で酒を飲んでいるとも知らずに…


純真無垢。
そんな言葉が似合いそうな奥さん。
若い似合いの夫婦は、社内でも何かと話題の的で。
コウタは専業主婦の奥さんの様子を、よく上司に詮索されていた。


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