この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
イヤよイヤよも好きのうち
第12章 かんさいじん
『よっしゃ、ほな行こか!』
『はい?あの…どこへでしょうか?』
『決まっとるやろ、メシや!』
『は?意味が分かりま……ちょちょっと!』
午後1時。会社の給湯室。
コーヒーで一息つく私の手を取って
強引に歩き出す、関西人。
『安心しぃや〜オレ奢ったるし!』
『い、いや!そういう問題じゃなくて…』
『いや〜連れが見つかって良かったわぁ〜!オレ、このへん土地勘ないやん?参っとってん。メシ食お思てんのに、店分からへんのやもんなー!』
私の手を握ったまま、ペラペラ喋り続ける若い男。引っ張られるがまま歩いて、気づけば会社のエントランスまで出てきてしまった。
昔から気が弱くて。言いたいことも言えない、ついつい流されるタイプの私だけど。
それでも、さすがに…!
『い…いい加減にしてくださいっ!』
大声で、反抗した。
『どないしたん?』
『あなた…誰なんですかッッ!!』
私は、この男を知らない。
『あー…スマンスマン、名前言うてへんかったか?オレ、高峰。高峰アキラな!それよか はよ行くで、カヨちゃん!』
『ちょっ…!?』
スペック
私、麻尾カヨ。25歳。OL。
謎の関西人、高峰アキラ。詳細不明。