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イヤよイヤよも好きのうち
第12章 かんさいじん


『よっしゃ、ほな行こか!』

『はい?あの…どこへでしょうか?』

『決まっとるやろ、メシや!』

『は?意味が分かりま……ちょちょっと!』


午後1時。会社の給湯室。
コーヒーで一息つく私の手を取って
強引に歩き出す、関西人。


『安心しぃや〜オレ奢ったるし!』

『い、いや!そういう問題じゃなくて…』

『いや〜連れが見つかって良かったわぁ〜!オレ、このへん土地勘ないやん?参っとってん。メシ食お思てんのに、店分からへんのやもんなー!』


私の手を握ったまま、ペラペラ喋り続ける若い男。引っ張られるがまま歩いて、気づけば会社のエントランスまで出てきてしまった。
昔から気が弱くて。言いたいことも言えない、ついつい流されるタイプの私だけど。
それでも、さすがに…!


『い…いい加減にしてくださいっ!』


大声で、反抗した。


『どないしたん?』

『あなた…誰なんですかッッ!!』


私は、この男を知らない。


『あー…スマンスマン、名前言うてへんかったか?オレ、高峰。高峰アキラな!それよか はよ行くで、カヨちゃん!』

『ちょっ…!?』


スペック
私、麻尾カヨ。25歳。OL。

謎の関西人、高峰アキラ。詳細不明。



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