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イヤよイヤよも好きのうち
第12章 かんさいじん
『何食おか、カヨちゃん』
『あの…
何で私の名前知ってるんですか…?』
『…あぁ!カヨちゃん!』
『は、はい?』
『スマン!薄着のまま連れて来てしもたな!オレ自分のことで頭いっぱいやって、気ぃつかんかったわ。悪いけどコレで我慢してくれん?』
おもむろに、自分が着ていたジャケットを羽織らせてくれる高峰さん。経理事務をしている私の格好は、カットソーにカーディガン、ひざ丈のスカート。4月といえども初旬の折、こんな姿で外に出されると当然寒い。確かに寒いんだけど…
『いや…私の話聞いてますか?そもそも何で私が、あなたとランチに行かなきゃ…』
『ほんで、カヨちゃん何好き?』
『…はあ?』
『やからメシやって!
例えば、麺か米やったら?』
『私はご飯派ですけど…って!そうじゃなくて!真面目に話してください!』
『お、この定食屋うまそうやん!カヨちゃん ここで かまん?寒いし時間もったいないし、はよ入ろ!』
全く意味が分からないまま、流されるがまま。私は定食屋の暖簾をくぐってしまった。