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イヤよイヤよも好きのうち
第12章 かんさいじん
『はあ?!』
『オレのこともアキラて呼んでくれたら、おあいこやろ?ほなま、そーいうことで!お互いの呼び方も決まったことやし、そろそろ行こか!おばちゃん、ごっそさん!』
い…意味が分からない。
怒ってない=容認
とはならないでしょ、普通!
『カヨちゃん、早よ早よ〜』
カヨちゃん言うな!でも…
『あの、ごちそうさまでした…
お代は今度、支払いますので。』
財布もないまま結局おごらせてしまったし、お礼は言わなきゃいけない。不本意な流れではあったけど、近くにこんなおいしい定食屋があったことも初めて知った。あたしは立ち止まって、頭を下げた。
『はは…律儀やなぁ。
えぇよ、オレが誘ったんやから』
ジャケットを片手で肩に引っ掛けて、高峰さんが振り返る。外に出て、ちょうど店の扉を閉めたその時───
強い突風がドウッと吹き荒れた。