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イヤよイヤよも好きのうち
第13章 やさしいひと


トントントントン…


『…レンジくん、すご〜い!』

『どうだ、これならクリーニングいかなくても済みそうだろ?』


得意そうに笑ったレンジくんは、また別の箇所をトントンし出した。やっているのは、シミ抜き。あたしの制服についた白いベタベタの跡を、レンジくんは一つずつ消していってくれてるのだ。


『こういうの、おうちでもしてるの?』

『ん〜?なワケないじゃん。前に授業でやっただろ。それやってるだけ〜』


鼻唄なんか歌って作業するレンジくんの手元は、本当に手際がいい。シミ抜きの授業なんて、確か1年の時に一回やっただけじゃない?よく…やり方も洗剤の種類も覚えてるなぁ。


『こういうのは早めにやっとく方がいーからな。タンパク質って固まると取れなくなるし。』


やっぱり根は真面目なんだ、レンジくん。頭も賢いし…どうして最近は授業もまともに受けなくなっちゃったのかなぁ…



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