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イヤよイヤよも好きのうち
第13章 やさしいひと
あれから月日は流れて。
レンジくんとまともに目も合わなくなったまま…この日を迎えた。
今日、私達は中学校を卒業する。
『タカナ〜別々の高校行っても、友達だからね!』
同じ校舎で学んだ皆とも、さよなら。
『うん、もちろんだよぉ!』
友達は…離れていても友達。
だけどここで会うことは、もう二度とない。式が終わり、仲の良かった友達と写真を撮り終わった後…あたしは一人、校舎へ入って行った。
ガチャン
視聴覚室には、鍵がかかっていた。
『………いない。』
体育倉庫裏の共同トイレは、無人。
ガラ…
思い出の家庭科室…
誰もいないそこは、知らない教室のようだった。レンジくんはもういない。レンジくんと過ごしたあの時間は、もうここにはないんだ。
『……誰のこと探してんの?』