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イヤよイヤよも好きのうち
第13章 やさしいひと


レンジくんは学ランの前を閉めていなかった。抱きついてよく見れば、全部のボタンがなくなっていた。引きちぎってる…女の子にあげちゃったのかなぁ…


『タカナ…』


レンジくんは、後ろからあたしを抱きしめ直して言った。


『タカナ…』


耳元で、何度もあたしの名前を。あの最後のセックスの時とは違う…ちゃんといつもの、大好きなレンジくんの声だった。それだけで濡れちゃったあたしを見破ったかのように…


『もう濡らしちゃったの…?』


スカートのポケットに入った左手が、パンツの上をまさぐって…意地悪をするの。


『れ、レンジくん…あんっ…』

『おっぱいもまだ触ってないよ…?』


レンジくんっ…レンジくんっ…!
今、言わないと一生後悔しちゃう…!


『レンジくん、あたし…!』


好きなの…!


『好きな奴ならさ、きっとできるよ…新しい学校で。』


振り向いたあたしの唇に手をやって、レンジくんは言った。


『ちが…!あたしは、レンジくんのことが好…!』


今度はキスに阻まれて。


『予言してやる。』


真っ直ぐにあたしの目を見たレンジくんは…


『西高の入学式の日。一番最初に優しくしてくれた男を、好きになるよタカナは。』


そうして


『今までサンキュ。』


それだけ言って、出て行ってしまった。セックスもしないで。最後の思い出って言ったのに。告白もさせてくれないまま…レンジくんはサヨナラをした。



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