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裸の女神
第6章 岬エリカ
番組が終わると、
清水が私を送ってくれる。
テレビに出たら、
笑顔に徹する顔は、
カメラが居なくなれば、
たちまち疲れた顔になる。
車の後部座席でそんな顔をする私に、
清水は気にかけながら、
時々、バックミラー越しに見ていた。
車内に流れる沈黙は、
決して重苦しいものではなく、
素になる事が唯一許された空間。
清水は黙って運転をする。
沈黙を破ったのは、
私だった。
「清水、鱧食べたいね」
「そうだな。
また、あの寿司屋に行くか?
時期になれば美味い鱧が食べれるだろう」
「そうね。
岬エリカがこの世界で活躍しているうちに、
最高の鱧を清水にご馳走してあげなきゃね」
「随分弱気だな」
清水は笑う。
「清水、この世界の厳しさは、
あなたが私に教えたのよ。
私は常にその危機感と戦い続け、
毎日ガムシャラに生きたわ。
苦しいと何度弱音を吐いて、
自分をリセットしたかったか‥‥‥‥
今は、私の夢にまで見た世界に居る。
でも、その世界は永遠ではないのは、
よく分かっている。
だから‥‥‥‥
怖い」
「その世界に一度も行けない女優も
居るんだ。
そして消えてゆく人もね。
エリカはチャンスを掴んで、
必死にしがみついた。
チャンスの女神も微笑んだじゃないか」
「そして裸の女神になったわ」
私は笑った。
「女神の意味をエリカは分かる?」
清水が私を送ってくれる。
テレビに出たら、
笑顔に徹する顔は、
カメラが居なくなれば、
たちまち疲れた顔になる。
車の後部座席でそんな顔をする私に、
清水は気にかけながら、
時々、バックミラー越しに見ていた。
車内に流れる沈黙は、
決して重苦しいものではなく、
素になる事が唯一許された空間。
清水は黙って運転をする。
沈黙を破ったのは、
私だった。
「清水、鱧食べたいね」
「そうだな。
また、あの寿司屋に行くか?
時期になれば美味い鱧が食べれるだろう」
「そうね。
岬エリカがこの世界で活躍しているうちに、
最高の鱧を清水にご馳走してあげなきゃね」
「随分弱気だな」
清水は笑う。
「清水、この世界の厳しさは、
あなたが私に教えたのよ。
私は常にその危機感と戦い続け、
毎日ガムシャラに生きたわ。
苦しいと何度弱音を吐いて、
自分をリセットしたかったか‥‥‥‥
今は、私の夢にまで見た世界に居る。
でも、その世界は永遠ではないのは、
よく分かっている。
だから‥‥‥‥
怖い」
「その世界に一度も行けない女優も
居るんだ。
そして消えてゆく人もね。
エリカはチャンスを掴んで、
必死にしがみついた。
チャンスの女神も微笑んだじゃないか」
「そして裸の女神になったわ」
私は笑った。
「女神の意味をエリカは分かる?」