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第6章 学園性活開始

一日の授業が終わり、お屋敷へと帰る時間になった。
足取りが重い。
またあの、屋敷へと帰らなければならない。

「葵様、大丈夫ですか？顔色が少し冴えませんが。」

「大丈夫。少し初めての授業で疲れただけ。」

智香が心配そうに葵の顔を覗きこんだ。

「お屋敷へ戻られると、授業の遅れている分の勉強時間が夕食前まであります。
　東条様に家庭教師を命じられていますので、私の屋敷でのお仕事はしばらく家庭教師です。
　少しお疲れの様ですので、今日はあまり難しいことはせずゆっくりとお部屋で勉強しましょう。」

智香の優しさに葵は少し心を落ち着けた。

屋敷の部屋に戻ると智香の講義が始まった。

「葵様、まずはメイドの基礎お屋敷言葉を覚えましょう。」

「お屋敷言葉？」

「そうです。
　まあ、敬語なんですけれどね。
　例えば外では当主、お屋敷内では当主様や東条様等呼び方が変わったりします。
　葵様は敬語がまだおぼつかないようですので、東条様に失礼のないようにするためにも覚えて下さい。」

そういえば、葵は東条に口のきき方がなっていないと注意されていた。

智香は懇切丁寧に葵に指導した。
とても分かりやすく、少しスパルタな授業は夕食前まで黙々と続いた。

「では、そろそろ終わりましょうか。
　私はこれで部屋に戻ります。
　何かありましたらお申し付けは内線の9番を押してください。
　私の部屋に直結しております。」

「本当にわざわざありがとう。」

「いえ、業務ですから。」

智香はそう言うとニコッと微笑んだ。

コンコン

「はい。」

部屋でしばらくするとノックの音が聞こえた。

「村井でございます。葵さん、夕食後当主が部屋に来るようにとの事です。
　夕食を取られましたら、お部屋にお迎えにあがります。」

智香との一時の緩んだ時間に一気に影を落とす通達だった。
部屋に呼ばれる。
もう、その意味は葵にも大方予想はついていた。