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快楽の窓〜ショーケースの向こう側〜
第8章 3P
凛は見えなくなるまで手を振り続けると、嵐のように去って行った。

春風も雰囲気のある人だと思ったが、なかなかの個性の持ち主の凛もすごい。
全くもって違う空気だが、特別な存在と二人共言われるだけの空気は持っていた。
そこに自分がなぜ入っているのか葵は不思議でしょうがなかった。

確かに昔から美人、綺麗、とそう言われてきた。
でも没個性と葵は自負している。
春風のような妖艶と清純さを兼ね備えた独特な大人の雰囲気も、凛のようなキュートで天使のような引き込む雰囲気も特別だ。
そんなものを持ち合わせていないのに特別視されることが疑問だった。

「東条に聞……けないよなぁ。」

東条になんで自分は特別なんですか?なんて葵は聞けずにいた。
自惚れてるみたいで恥ずかしいし、まどかの言う通り自分の下半身だけで選ばれたのだったらバカらしい上に性奴隷でしかないことを再確認することになる。

部屋へ戻ると村井が部屋の前で待機していた。

「村井さん。どうされたんですか?」

「葵さん、今晩ご夕食後に東条様のお部屋へ。」

「はい。」

東条からの呼び出し。
もうその意味は分かっている。

最初ほど嫌ではない自分が葵の中にあることはもうとっくに気付いている。

セックスの気持ちよさをあの東条によって教え込まれている。
三週間お預けされた後春風を選びなぜ自分が選ばれなかったのか悶々とし、自慰までしてしまった。
それでいて昨日は葵自ら腰を振り求めた。

それでもまだ反抗的な部分が葵の中にある。
東条を崇拝できる信用がないのが一つ。
異常を認めたくないのが一つ。
そしてこの異常な世界で生きていくだけの覚悟と自信がないことが大きかった。

ただ、呼ばれれば行く。
流れに身を任せるだけで葵は生きていた。










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