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その、透明な鎖を
第6章 違和感
「何か、してほしいことない?」
「……ん?」
「撫でると楽?」
「大丈夫――そんなに優しくされると甘えたくなっちゃうよ」
「じゃあ甘えて?」
彼のその言葉に、彼女は黙ってそのまま彼を見つめて。
それから、小さく頷いた。
「……ん」
そっと、凛が悠斗に手を伸ばした。
それを、彼は取る。
「薬、効いてくるまでこうやって……手、握ってて?」
「ん」
――そんなことぐらい、いつだって。
心の中で、彼は呟いた。
手を握ったままぎりぎりまでベッドに近づく。
空いている手で、彼女の頬にかかっている髪をそっと避けさせる。
「寝ていいよ?」
その言葉に、彼女はゆっくりと瞳を閉じて。