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その、透明な鎖を
第6章 違和感
悠斗は凛の手を握り、眠る彼女のその横顔を見つめた。
考えてみたら、こんな彼女の顔を見るのは初めてのような気がする。
いつもの、あの少し大人びた印象などまったくなくて、あどけなささえ感じるその寝顔。
……そうだ。
彼女はまだ、自分と同じ17歳だった、と――――。
「凛……」
当たり前のことに今更ながら気づいたかのように。
そしてその気づきが思わず彼女の名前を呟かせる。
――好きだよ、凛。
何度伝えても、多分伝えきれないんだろうな。
俺が凛のことをどんなに好きか、なんて。
正直、こんなに好きになるなんて思わなかった――そう、彼は想いを振り返る。
最初は、変な女、って。
そんなふうに思ったほどだったのに、と。
それでも、彼女が彼に残した印象はあまりにも強くて。
姿を見るたびに。
言葉を交わすたびに、彼は彼女に少しずつ惹かれていった。