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その、透明な鎖を
第6章 違和感
視界に入ってきた、ひとりの男。
「え……」
まだ、頭がよく働かなくて。
「君、凛の友達?」
「え?」
「……彼氏、かな?」
ちら、と。
男の視線が、繋がれたままの凛と悠斗の手へと動く。
「あ、あの」
悠斗は思わず彼女の手を離して、あらためて男を見る。
細身の、ずいぶんと整った顔立ちをしたその男は、凛が眠るベッドへと近づくと、少し長めの髪を揺らしながら屈み込んで、彼女の身体を揺すった。
――この人は……凛の、家族?
父親? でもそれにしては若すぎるような――……。
「ん……」
起こされた凛が、静かに目を開けて。
瞬きを何度か繰り返して。
「りゅ、う……?」
小さく、そう言った。